この日は米国の「母の日」です。今月の食事提供は朝稽古を終えた生徒達が新緑の日本館の庭に大きなシートを開き、其の上で皆が輪になってジャガイモやニンジンなど野菜の下ごしらえ、13年続く恒例の日曜の朝です。その材料をもって援護センターに2時頃から入り5時から2回ある食事にあわせて調理がされます。メニューを紹介しますと、5時からのセンターに住む60人余りの方には、チキンカレー、酢豚、牛肉の野菜炒め、マグロのあんかけ、キャベツとベーコンの炒め物、揚げ餃子、ライス、8時からの外部からの「自由居住者」230人にはチキンカレーライス、キャベツとベーコンの炒め物、揚げ餃子、デザート、食パン、牛乳でした。よく「カレーを食べるの?」と聞かれますが、これは色々なメニューの中でも最も人気のあるものです。アルコールやドラッグによって弱くなっている味覚、弱い歯、また、スプーンで簡単に食べれる事、などから好評なのです。早く食べれる事は早くお代わりがもらえる事であり、どうしても柔らかいあまり噛まなくても良いメニューとなるわけです。また菜食主義の方もおり、そういった方のメニューも用意しています。プレートは米国内の刑務所用の厚いステンレス製の大きな物ですが、このプレートで10分余りで4杯食べた方もいます。日本のカレー皿ですと8杯分相当と思われます。しかも私どものカレーは具が柔らかくとも解けていないため大変な量です。最近はアフガニスタン、イラクの子供の救済など、目を引き安いテーマに救援のキャンペーンが行なわれる傾向にあります。かといって米国内の援助を必要とする人が減少したわけでもなく、ミッションへの食料などの寄付が少なくなっている傾向にあります。日本館はまず私達の隣人に出来る事を充実させる事を忘れてはいません。このプロジェクトには活動に賛同した日本館メンバー以外の参加者も多く、これまでに日本レストランオーナー、他武道の師範の方たち、駐デンバー領事、デンバー市議の方たち、ユナイテッド航空パイロットグループ、日本からの公共団体職員の研修の方々、など幅広い分野の方々が参加されています。参加の方々はいずれも独自の判断で参加された方々で、参加される方が「自分も参加したい」と希望するまでは日本館ではお誘いはしないのです。今週はデンバー大学日本人留学生会の副会長の北沢佑介君と同じ大学で弟の康介君が参加されました。北沢君のレポートを紹介します。
自分が、本間先生にこのボランティアについてはじめて聞いたとき正直戸惑いました。それは、先生が飲み会の変わりにそれを始めたということと、もう13年も続けているということを聞いたときです。もし自分なら、そういう考えになったり、それを長い間続けることができるのか正直分かりませんでした。
ボランティアというと、今まで自分の中のイメージとして、自己満足のためだけにやっている人が多い、または偽善者の印象のほうが強かったのですが、アメリカ人のボランティア精神というものを体験してみたく初めはただ手伝いという気持ちで先生に手伝わせてもらいたいという旨を伝えました。
自分は、今現在デンバー大学のシニアーで、この6月に卒業を予定しています。また、JSA(デンバー大学 日本人協会)の副会長として、本間先生には大変お世話になっています。本間先生には毎回毎回のJSAでのイベントに寄付をしていただいたり、色々相談に乗っていただいたり、アドバイスをいただいたりとDUJSAの父のような存在に思えます。また、そういうことから何か自分が先生のお手伝いをできないかと思っていたことも今回の参加につながったのかもしれません。
そして、当日自分と、弟の康介とでデンバーレスキューミッションまで、行こうとしましたが、案の定迷ってしまいました。ようやくたどり着いた先は、他のホームレス救済施設で、そこはデンバーレスキューミッションと目と鼻の先の場所でした。そのとき、こんなに近くに2つの救済施設があることに驚きました。
自分と弟は今回が初めての参加だったので、何をしていいのか最初分からず足手まといになったかもしれません。しかし、他の方々が自分達にもできる仕事を指図してくださったので、何とか少しは役に立ったような気がします。
実際、ホームレスの人と対面してみてまず最初に思ったのは、この人もホームレスなのか?という疑問でした。見た目はまったく自分の想像していたホームレスの人とは違い、またいろんな人種の人がいることも驚きでした。実際のサービスが始まってからの自分の仕事は食べ終えた食器を片付け、そのあいたところに新しく入ってきた人を案内することでした。最初は、どうしたらいいのか分からず度惑ってしまいましたが、帰っていく人に"THANK YOU"といわれることが少しづつその場になれることのきっかけだったような気がします。その後は、不思議とその場に打ち解け、本当に楽しく働けたと思います。自分が何かをやった、人のためにいいことをした、ということではなく、そこで働いたということが本当に楽しかったのです。本当にあっという間に時間が過ぎていきました。
帰りの車で、弟の康介とこの経験について話し合いましたが、また、時間が合えばぜひ参加させてもらいたい、というのが二人の結論になりました。
最後に当日参加されていた皆さん、本間先生、本当にありがとうございました。そして、また次回もぜひ参加させてください!
北澤 祐介
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