トルコ響岳太鼓コンサートに於ける本間館長のオープニングスピーチ(抜粋)

 ここに太鼓があります。これが太鼓、下にあるのが台、そしてこれがバチです。この3つの道具をどの様に使ったら一番良い音が出ると思いますか?
太鼓を地ベタに置いて台で打ってもダメですし、台の上にバチを置いて太鼓で打ってもダメです。それぞれの役目を正しく行なってこそ良い音が出ます。

 日本は昔、大和の国と呼ばれていた頃があります。現在でも私たちはこの名前に親しみを持っています。大和とは「大きなる和」つまりグレイトハーモニーと訳す事が出来ます。古代から日本ではグレイトハーモニーを奏でる事に大きな意義がありました。
 
 世界にはさまざまな宗教、文化、そしてそこに生活する人々がいます。世界平和の構築とは幾つもの異なった太鼓がそれぞれの持ち味を生かして「大なる和、グレートハーモニー」を産み出す様に、人々が互いにそれぞれの宗教や文化に敬意を払い、それぞれの「異なり」をもって「ハーモニー」すなわち平和を産み出す事に有ります。決して力の有る国の文化や宗教思想を絶対のものとして、たった一つの大太鼓、たった一つの小太鼓に執着し、一つの音に統一する事では有りません。

 今夜の打ち手の皆さんは、太鼓に人生を映し出し毎日を生活する方々ですが、決して太鼓を打つことで生活している方々では有りません。皆さん、それぞれの仕事を持っておられる方々です。それぞれの生活を持つ皆さんがそれぞれの味を持って一つのハーモニーを産み出してくれます。彼らにとって太鼓を打つ事は穏やかな日常「グレートハーモニー」への感謝と祈りなのです。

 皆様、「平和を願う太鼓集団」信濃国松川響岳太鼓の一糸乱れぬ演奏をお楽しみください。